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幸せの相対性〜夜と霧より〜 [哲学]

さぁ、哲学タイムです。

タイトルにもしている『夜と霧』は心理学者ヴィクトール・フランクルが、第二次世界大戦中のナチスドイツによる強制収容所の様子を、一心理学者として克明に記した物です。

ずっと読みたくて、書店にふらっと立ち寄った時に、みすず書房から新版で出ているのをみてつい衝動買いしてしまいました。(社会人になってから、本を買う時はお金に糸目をつけないことに決めているので、後悔はしていません。ハードカバーでも)

一気に読んでしまいましたが、買って良かったです。

なかでも印象に残っているのが、収容所から解放された後の一枚を巡る写真の話です。

ある人が、被収容者達が狭いベッドにぎゅうぎゅう詰めで寝ている様を写した写真を見て、フランクルにそのおぞましさ、悲惨さを訴えかけました。
しかし、フランクルには、その人が写真に対して抱いた感情が全く理解できませんでした。
その写真をみて、フランクルが思い浮かべたのは、「幸福」でさえあったのです。

というのも、その写真は「静養中」の被収容者達の様子を写したものであることを、フランクルは知っていたからです。
彼らは、病気と認められ、窮屈なベッドで一日中ごろごろし、うたた寝しても良い身だったのです。
吹雪の中、過酷な労働を強いられる他の被収容者達と比べて、その写真の人々がどれだけ恵まれていて、その「静養」がただ「生き延びる」という目的のために、どれだけ大きな意味を持つかを、フランクルは経験から分かっていたのです。

この一節から、「幸せ」とは相対的なものであり、立場が変われば同じ状況でも180度変わってしまうことを痛感しました。この観点を得る事ができただけでも、この本を買った価値が十分あるように思っています。

極端な例かもしれませんが、現代社会にも通ずる部分は大いにあると思います。


皆さんにとっての幸せとは、どのようなものでしょうか?
自分のことも、他人のことも、どちらも慮る気持ちを持つことに繋がる一節をご紹介させていただきました。





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